ソムリエが教える!ワイン選びに役立つ香りの表現
赤スグリ、スミレ、甘草、なめし皮…
「ワインの香りの表現って、難しいものばかり・・」と考えたことありませんか。
実際に、その香りもしますが、実はこれは一言で「このワインは、こういうワインだと表現する方法」として使われるものなのです。
この香りの表現方法を覚えると、自分好みのワインを見つけるのに、とっても役立ちます!
この記事では、ソムリエが教える「ワインの香りの表現」についてお伝えします。
自分好みのワインを選ぶのに、是非参考にしてみてください。
ワインの香りとは
ワインの香りは「ワインのアロマ」とも表現されます。
この香りは、基本的にはヨーロッパでのワインの表現方法が基になっています。
そのため、私たち日本人には「あまり馴染みのない花やフルーツ」が主に表現として使われているのです。
例えば「アカシア」はワインの香りの表現で良く使われますが、アカシアという花も、香りも知っている日本人は、とても少ないです。
ソムリエ試験などで「このワインはアカシアの香りがする」と覚える事によって、香りを覚えるのが日本では一般的です。
変な香りがあるのはなぜ?
アロマというと、良い香りを想像しますが…
「なめし皮」「森の下草」「タバコ」など、あまり美味しそうに聞こえない香りもワインにあるのはなぜでしょうか。
これは例えば、電話やメールでも「相手にどんなワインなのかを伝える手段」だからなのです。
香りを口で表現するというのは、相手にワインの特徴を伝える為の共通言語だと思うと分かりやすいでしょう。
例えば「ラズベリーとスミレと、なめし皮や紅茶やスパイスの香り」と聞けば大抵は「熟成したピノノワール」というイメージが出てきます。
なぜ、品種や熟成の様子まで分かるのかというと、ワインには大きく3つの種類の香りがあるからです。
・第一アロマ →「ブドウ」から来る香り
・第二アロマ→「発酵」で出来る香り
・第三アロマ→「熟成」で出来る香り
それぞれの特徴の「香り」を知ることによって、飲まなくても、どんなワインなのかが脳内で分かるようになるのです!
では、順番に香りの特徴を見ていきましょう。
第一アロマ
第一アロマと言われる香りは「ブドウ由来の香り」を表しています。
主に、フルーツや花、植物やスパイスの香りを用いて、どんなブドウから、このワインが造られたかが分かるのが、この香りです。
第一アロマの特徴を読むと、ブドウについて分かります
・ブドウ品種
・ブドウ産地の様子
ブドウ品種の特徴
ブドウ品種そのものを表現するための香りがあります!
・ガメイ→スミレやイチゴ
・シラー→コショウ
・ゲヴェルツトラミネール→バラ・ライチ
・ソーヴィニョンブラン→グレープフルーツ・ハーブ
最初は分かりにくいかもしれませんが、これが「イチゴ」とか「バラ」の香りなのか!と覚えると香りの特徴を掴みやすくなります。
ソーヴィニョンブランやゲヴェルツトラミネールなど、特に分かりやすい香りのブドウ品種を「アロマティック品種」と言います。
ブドウ産地の様子
香りの表現で、どんな産地なのかを伝える事も出来ます。
同じ品種でも、産地によって気温や土壌は異なるので、香りも全然違うからです。
例えば、産地の気温を、果実の香りだけで簡単に表現するとこうなります。
涼しい産地のワインは、若くフレッシュで摘みたての状態のような甘酸っぱい果物
温かい産地のワインは、完熟したり、砂糖漬けや煮詰めてジャムにした果物
第二アロマ
ワインの第二アロマの香りとは、発酵の途中で生まれる香りのことです。
ブドウが発酵してワインになる時には、アルコールの他に「香り」も生み出すからです。
・酵母の働きで→パン生地、焼き菓子の香り
・マロラクティック発酵で→バターやクリームの香り
※マロラクティック発酵とは乳酸菌が、酸っぱいリンゴ酸を、まろやかな乳酸と二酸化炭素に分解する発酵のこと。
ワインの発酵には大きく分けて二つあります。
酵母が、「糖分」を「アルコール」にするアルコール発酵と、
アルコール発酵が終わった後に起こる、マロラクティック発酵です。
特に白ワインやスパークリングワインでは特に、マロラクティック発酵をするかどうかによって香りが異なります。
第三のアロマ
第三のアロマは主に熟成の過程で生まれる香りのことで、「ブーケ」と呼ばれることもあります。
ワインは若い時と、熟成した後では、全く香りが異なるからです。
・樽熟成→ヴァニラやココナッツ。コーヒーの香り
・ボトルの中での熟成→ドライフルーツ キノコ タバコ なめし革
この香りがあれば「熟成したワイン」なのかや「熟成の時に樽を使用したかどうか」を伝える事がでです。
ボトル熟成香は、「なめし革」や「鉄分」などの香りの表現を見ると、ワインに舌が慣れている方が好ましく感じる香りかもしれません。
若い頃は苦手でも、年を重ねると好きになることも。ワインは飲む時やシチュエーションによって感じ方も異なる面白いものなのです。
※タバコというのは「たばこの葉」のことで、喫煙所の様な香りではありませんのでご安心下さいませ※
ワインの香りの特徴を知ると、自分の好きなワインを選びやすくなる!
ワインの香りは、実際に香りを楽しむのはもちろんのこと、「どんなワインかを伝える」という役割もあります。
ワイン売場で、香りのコメントを見た時は、是非思い出してください。
フルーツや花の香りは、ブドウの品種と産地の様子を知る助けになります。
パン生地や乳製品の香りは、特に白ワインやシャンパーニュで使われています。どんな発酵をさせたワインなのか知る手掛かりになります。
バニラやコーヒーの香りがあれば樽で熟成させたワイン。
なめし革やタバコの香りがあれば熟成したワイン。と分かります。
気に入ったワインを見つけたら「どんな香りの表現」のワインかを調べてみましょう。
何度かやってみるとこの香りのワインを買えば間違いない!という自分なりの基準ができるようになりますよ!
飲む時は、自由に表現してみよう
ソムリエは仕事として、お客様や、お店に案内する時に、こうしたちょっと堅苦しい表現を使っています。それは、どういうワインなのかを伝える為という目的があるからでしたね。
でもテーブルでワインを楽しむ時には、思った通りの感想を語りあえば良いのです。
人によって表現の仕方も、香りの感じ方も違うものだからです。
「干し柿の香り」「チンジャーロースの香り」「おばあちゃん家の香り」自分で思ったことを、自分の知っている香りで表現しながら、色々話しながら飲んでみましょう。
ワインは、人と語りながら飲むと、さらに楽しくなるお酒です。
是非いろいろとワインを楽しんでみましょう!!
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