スペインのワイン産地「ソモンターノ」の魅力をご紹介

 

スペインのD.O.「ソモンターノ」

ソムリエ試験では覚えるべきスペインのワイン産地の1つとして有名ですが、ソモンターノのワインは、あまり目にすることはないため、なかなかイメージがつきにくいかもしれません。

また、交通の便も悪く訪れるのも難しい地区で、いわゆる観光地ではなく、静かな田舎町といったイメージです。

しかし、ソモンターノのワインはいま大注目!フランスとの国境近くのこの恵まれた気候で造られるワインは、他のスペインワインとはちょっと違います!

この記事では、ソモンターノの魅力をたっぷりお伝えします。読み終わる頃には、ソモンターノのワインを試してみたくなること、間違いなしです!

スペインのワイン産地「ソモンターノ」とは?

ソモンターノ(Somontano)があるのは、スペインの北東部。アラゴン州です。

ソモンターノという名前には「山のふもと」という意味がある通り、フランスとの国境にそびえ立つ雄大なピレネー山脈のふもとに位置しているワイン産地なのです。

ピレネー山脈は、30 kmにわたって連なる標高約3,400m の巨大な山脈です。

目の前にそびたつピレネー山脈の向こうには、かつては人がいるなんて考えられないと言われていたほど大きく、イベリア半島とヨーロッパを隔てているものでした。

 

ソモンターノの気候とは?

ソモンターノの標高平均は650m。非常に標高が高い産地です。

夏は暑く乾燥していますが、ピレネー山脈から冷たい風が吹くことと、高い標高からくる「寒暖差」がブドウ栽培にピッタリの気候を生み出しています。

冬はかなり気温が下がり、スペインでは珍しい多く雨の降る産地でもあります。

また他のスペインのワイン産地と比べて、ピレネー山脈からの河川が多く、潤っているのが特徴です。

私達がソモンターノを訪れたのは3月下旬。まだ上着が必要な寒い時期でしたが、スペインの他の箇所と比べて、潤っていて緑が多いと感じたのが印象的です。

また、とにかく風が強かった!この風がブドウに付着するカビや病気を飛ばしてくれるので、健康なブドウが育つ特徴をもっています。

 

ソモンターノの土壌の特徴とは?

ソモンターノの土壌は、花崗岩の岩だらけの土壌です。

ピレネー山脈から栄養たっぷりの雪解け水を染み込ませた土壌は、炭酸カルシウムや鉄分を豊富に含んでいてブドウに良い影響を与えています。

実際に畑を見てみると「こぶしサイズの花崗岩」が畑にゴロゴロしている様子が見られました。

水捌けが良いこの土壌は、ブドウ栽培にピッタリです。

 

ソモンターノの歴史とは?

気候と土壌に恵まれたソモンターノは、紀元前200年ごろからブドウが造られてきた歴史あるワイン産地です。

しかし、交通が不便で外界から遮断されたようなこの産地では、自分たちが楽しむためのワインを造っていただけで地名度は低い場所でした。

1984年に、ソモンターノがスペインの原産地呼称D.O.として認められてからは、スペイン国内はもちろん海外に向けて輸出用のワインも多く生産されるようになりました。

90年代に入ると近代的な品質管理や、気象分析などを行って、恵まれたこの地区を最大限生かしたブドウ造りが行われるようになり、スタイリッシュなワイナリーも多く誕生しています。

とはいえ、とても小さいワイン産地で生産量も少ないので、他の地区のスペインワインより流通量は少ないままであるのは事実です。

 

ソモンターノワインの品種とは?

古くからワイン造りが行われていたソモンターノでは、テンプラニーリョやガルナッチャなど、スペインを代表する品種はもちろんのこと「土着」品種も多く育てられています。

例えば「モリステル」や「バラレタ」などは、他の産地ではあまりないソモンターノ土着の品種です。

スペインのワイン産地DOとして認められた1980年代以降は、メルローやカベルネ、ゲヴェルツトラミネールなどの世界品種も多く育てられています。

輸出向けのワインが多くつくられてきましたが、近年は「ソモンターノらしさ」を出した土着品種をつかったワインの復活も多く見られます。

 

日本でのソモンターノのワイン

ソムリエ協会の教本にはしっかり載っている産地ですが、日本で買おうとするとなかなかな見つけられない産地が「ソモンターノ」です。

外界から少し隔離された小さな産地ゆえに生産量も少なく、日本で目にする機会は少ないかもしれません。

とはいえ、ソモンターノのワインは、高品質でリーズナブル!しかも、ブドウ栽培に恵まれた気候ゆえに、他のスペインワインとは「ちょっと違うスペインワイン」が楽しめます。

是非おためしください!

 

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