ブドウの収穫:機械で?手摘みで?違いについて解説
収穫の時期です!ワイナリーから続々と収穫の様子が送られてきており、今年のワインへの期待を高めてくれています。
ワインの原料となる「ブドウの収穫」は、どんな風に行われているのでしようか。
今日はワインの手前、収穫の方法についてみてみましょう。
収穫のタイミング
農作物であるブドウは、毎年のように変わる天気によって、熟し方が異なります。
そのため、毎年同じ日に収穫をはじめるわけにはいきません。
収穫のタイミングは、その年のワインの味に大きく関わるので、特に小さなワイナリーでは見極めが何より肝心と言います。
見極める為のポイントは大きく2つあります。
ブドウの熟し具合を確認
まずはブドウの熟し方を日々観察して、収穫日の目安を決めます。
大切なことは「酸を残しつつも、しっかり熟していること」です。
ブドウは十分に熟してなければいけませんが、熟しすぎて甘くなりすぎてはダメ。もちろん未熟もダメです。
特に全房発酵といわれる、葡萄を房ごと発酵させてワインにする場合は「房まで」しっかり熟している事が大切です。
造りたいワインのスタイルによって、収穫日を見極めるのがとても大切で難しく、でも楽しいそうです。
天気予報を確認
天候は収穫の良し悪しを左右してしまいます。
収穫の時期に雨が降ってしまうと、ブドウが水っぽくなってしまうので美味しいワインが出来ないからです。
理想は、晴れの日が続いた後に収穫することで、最善の状態でブドウを収穫することが出来ます。
特に、小さなワイナリーほど、葡萄の様子と天気によって、収穫日を見極めることがとても大切です。
「おかえり ブルゴーニュへ」(2017/仏映画)
ワイナリーの様子を知りたいという方にオススメです!特に収穫日の見極めの様子が良く分かります。そしてブルゴーニュの美しい風景に癒される♡
ブドウの収穫方法
大きなトラクターで一気に収穫する「機械収穫」か、一房づつ手で行う「手摘み収穫」があります。
機械収穫
お手頃価格のワインは、ほとんどが機械収穫です。スピーディーで人件費がかからないからです。
例えば、オーストラリアの広大なブドウ畑では機械で収穫して、広大なワイナリーにブドウを集めワインを造っています。
大量生産のワイナリーでは、葡萄の熟し方で判断するというよりも、スケジュール通りにワインを造る事が大事です。
そのおかげで安定して、いつでも同じワインをお手軽価格で買う事が出来ます。
ブドウの収穫は、写真の様に大きな車輪のハーベスターで行います。
葡萄の樹を車輪の間に挟み樹を揺さぶってブドウの果実を振り落として収穫するのです。
コストカットや大量生産が主な目的ですが、実は他にもメリットがあります。
そのため、あえて機械で収穫する小さなワイナリーもあるそうです。
・雨の影響を最小限にできる
→短時間で収穫出来るので、雨予報が出た時にもすぐに対応できる。
・夜間収穫も簡単にできる。
→ブドウは涼しい時間帯に収穫すると、収穫後にも追熟することを防げる。手摘みでも涼しい早朝に収穫するところも多い。
とはいえ、機械で揺らした葡萄は傷つきやすく、選別して収穫できないので、どんなブドウも収穫されてしまいます。
手摘み収穫
ブドウの収穫と聞いて、イメージするのはこんな様子ではないでしょうか。
今でも、多くのワイナリーでは手間も時間もかかりますが、手摘みで収穫しています。
一房づつ、ブドウの出来を見ながら収穫出来るので、良質なブドウかどうかを見極めることが出来ます。
また機械収穫とは違い、ブドウを傷つけずに収穫することができます。
とはいえ、人手も必要ですし、時間がかかるので天気にも大きく左右されるのも事実です。
手作業しか出来ないワイナリーも
機械収穫が出来るワイナリーの最大の条件は「機械が入れる大きなブドウ畑」ということです。
実は、古くからのブドウ畑は斜面にある事が多く、機械が入れないものも多いのです。
斜面にブドウ畑をつくる理由は色々ありますが、水はけが良く、日光が良く当たるのでブドウ栽培にとって良い条件になるからです。
▲Raffaele Palmaの収穫の様子
急斜面の畑で、手摘み収穫したブドウを運ぶのも電動車とはいえ、手作業です。
しかし、この急斜面の畑のおかげで、日光と海風の恩恵を受けて農薬を使わずに健康なブドウを栽培できています。
他にもブドウの種類によって、機械化できない仕立て方のものは手摘みで収穫されています。
例えばボジョレーのブドウ品種「ガメイ」は、ゴブレ型という仕立て方でつくられます。
地面の近くでブドウを実らせる方法なので、機械で収穫することが出来ず、一房づつ収穫されています。
▲Bel Aveniorの葡萄畑。ゴブレ仕立ての「ガメイ」種
ワインは「農作物」!!
収穫について知ると『ワインは葡萄の出来にかなり左右される』ものだと思うのではないでしょうか。
それで「この年は天候が最高だったから良いヴィンテージだ」などと言われ「ヴィンテージ」が重要視されるのです。
「ブドウ100%」でつくるワインは、この点で他のお酒とは大きく異なっています。
例えば、日本酒も「米」を原料に造るお酒です。米の出来ももちろん大切ですが、水や醸造の仕方の方がもっと大事とも言われています。
こう考えてみると、ワインは毎年のように天気に左右される『農作物』だと分かります。
良いワインは、ブドウの様子と天候と毎日向き合って、最高のタイミングで収穫されたブドウから造られています。
ワインの値段の違いは、こんなところからも来るのですね。
グラスに注いだ1杯から、是非そんなことにも思いを馳せてみてください!
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